完了時制とは、現在・過去・未来のある時を基準にして、動作の完了、結果、経験、継続を表すものです。基準となる時に応じて、現在完了時制、過去完了時制、未来完了時制の3種類があります。ここでは、完了時制と一緒に使われる副詞なども紹介しながら、わかりやすく説明します。
完了時制の作り方
基本となる現在完了形は、現在を基準にして、動作の完了・結果、経験、継続を表すもので、「have+過去分詞」が使われます。基準となる時が過去になると過去完了、未来の場合に未来完了になります。それぞれの完了形の作り方は以下の通りです。
- 現在完了形:have + 過去分詞
- 過去完了形:had + 過去分詞
- 未来完了形:will have + 過去分詞
それでは、これから三つの完了形を例文を用いて見ていきましょう。
現在完了形
現在完了は、過去に起こった動作が現在に関わってくるものです。意味としては、動作の①完了、②結果、③経験、④継続に分けられます。以下、順番に見ていきましょう。
完了の説明と例文
「~したところだ」「~してしまった」という意味で、今までやっていた動作が直前に完了したことを示します。時を表す副詞と一緒に使われることが多く、肯定文ではalready(すでに)、just(ちょうど)などの副詞が、疑問文や否定文ではyet(まだ)などの副詞が多く使われます。
【例文】
He has just finished his work.
(彼はちょうど仕事を終えたところだ。)
Have you read the book yet? (もう本を読み終えましたか?)
– No, not yet. (いいえ、まだです。)
結果の説明と例文
「~した結果、今~である」という意味で、過去の動作の結果、今の状態になっていることを表します。今の状態を表すために用いられるので、通常、時を表す副詞は使われません。
【例文】
She has gone to Japan.
(彼女は日本へ行ってしまった。→今はここにはいないことがわかる)
I have lost my camera.
(カメラを失くしてしまった。→今はカメラを持っていないことがわかる)
経験の説明と例文
「(今までに)~したことがある」という意味で、過去から今までの経験を表します。Ever(今までに)、before(以前に)、never(一度もない)といった経験を表す副詞の他、often(よく)など、頻度を表す副詞を伴うことが多いです。
【例文】
I have seen her before.(私は彼女に会ったことがある。)
Have you ever heard this song?
(この曲を聞いたことがあります?)
No, I haven’t.
(いいえ、聞いたことはありません。)
※「行ったことがある」という経験
「行ったことがある」という意味で完了形を用いる場合、普通、goの動詞は用いられずbe動詞が使われます。
【例文】
○He has been to Alaska.
(彼はアラスカに行ったことがある。)
×He has gone to Alaska.
(彼はアラスカに行ってしまった。→今はいない)
二つ目の例文は、結果(行ってしまった)の意味になります。
継続の説明と例文
「(今までずっと)~している」の意味で、現在から過去まで状態が継続していることを示します。動詞としては、be動詞、live、knowなどの状態を表す動詞(状態動詞)が使われます。for(~の間)、since(~以来)、always(ずっと)など、期間や時点を表す副詞を伴います。
【例文】
I have been sick for weeks.
(私は何週間も具合が悪い。)
They have lived in Kyoto since 1990.
(彼らは1990年から京都に住んでいます。)
過去完了形
過去完了は「had+過去分詞」で表され、過去のある時を基準にして、それ以前の動作が①完了、②結果、③経験、④継続していることを示します。現在完了の「基準となる時点」が現在から過去に移ったもの、といえます。
完了の説明と例文
「(過去のある時点では)~してしまっていた」の意味で、過去のある時までに動作が完了していることを表します。基準となる過去を表す語句が示され、before(~する前に)、when(~した時)、after(~した後)などの接続詞が頻繁に使われます。
【例文】
I had already left home when my parents called me.
(両親が電話をかけてきた時、私はすでに家を出てしまっていた。)
結果の説明と例文
「~した結果、(過去のある時点では)~であった」という意味で、過去のある時における、それ以前の動作の結果を表します。
【例文】
They bought their son a new toy as he had lost the old one.
(彼らは息子がおもちゃを失くしてしまったので、新しいおもちゃを買い与えた。)
経験の説明と例文
「(過去のある時点までに)~したことがある」の意味で、過去のある時までの経験を表します。
【例文】
I had never been abroad before I travelled with my grandparents for the first time.
(祖父母と初めて旅行に行くまで、私は海外に行ったことがなかった。)
継続の説明と例文
「(過去のある時点まで)ずっと~していた」という意味で、過去のある時までの動作の継続を示します。
【例文】
She had lived in San Francisco for a long time before she moved to New York.
(彼女はニューヨークに引っ越してくる前、 サンフランシスコに長い間住んでいた。)
※過去完了進行形
動作の継続を表す時、状態動詞の場合は上記のように過去完了形を使いますが、動作動詞の場合、次の例文のように過去完了進行形を使うことに注意しましょう。状態動詞とはbe動詞、live、knowなどの「状態をすぐに変えることができない動詞」で、通常は進行形(~ing)にすることができません。これに対して、動作動詞とは「動作をすぐに変えることができる動詞」のことで、play、study、runなどがあり、進行形にすることが可能です。
【例文】
I had been studying mathematics for two hours before my tutor came to my house.
(家庭教師が家に来るまで、私は2時間、数学を勉強し(続け)ていた。)
未来完了形
未来完了形は、「will have+過去分詞」の形で表され、「未来のある時を基準にして、動作が①完了/結果、②経験、③継続していること」を示します。過去完了と同じく、現在完了との違いは、基準点が現在から未来に移ったことです。
完了/結果の説明と例文
「(未来のある時点までに)~してしまっているだろう」の意味で、未来のある時までに動作が完了していることを示します。
【例文】
He will have gone when you come back from Paris.
(君がパリから帰ってくる頃には、彼はすでに行ってしまっているだろう。)
経験の説明と例文
「(未来のある時点までに)~したことがあるだろう」の意味で、未来のある時までの経験を表します。
【例文】
I will have been to Italy four times if I go there again next month.
(来月もう一度イタリアに行くと、4回行ったことになる。)
継続の説明と例文
「(未来のある時点まで)ずっと~していた」の意味で、未来のある時までの動作の継続を示します。
【例文】We will have been married for 30 years next month.
(来月、私達は結婚して30年になる。)