日本の英語学習書のベストセラー、デイビッド・セイン氏、多くの著作があります。高く評価されている反面、その独断的な解釈を批判する方もいます。今回は同氏の著作「ネイティブが使う英語使わない英語」の勉強法を紹介します。
ネイティブが使う英語使わない英語がおすすめの人は?
初級者、例えばTOEIC500点以下なのに、アメリカ駐在になる方なども、使われている単語は中学生レベルくらい、日本語の解説もあるので、読んで楽しむことはできます。
しかし、基本的には上級者向けの本です。アメリカ英語ですので、アメリカ在住の方か、アメリカ英語に興味ある人が良いと思います。
日常会話は問題ないが、もう少し上級レベルの会話がしたい人や、効果的なコミュニケーション、英語での、丁寧、フレンドリーな表現など、いろいろ学びたい方にはおすすめです。
著者のデイビット・セインはどんな人なの?
デイビット・セイン氏は1959年米国生まれ、カリフォルニア州、アズサパシフィック大学社会学修士号取得、日英翻訳、通訳、英語教師として活躍。1990年代後半より、日本人の英語をテーマに多数の本を執筆、累計で400万部以上の売上があります。
日本人の英語力向上のための、教材作成のための企業「エートゥーゼット」の代表を勤めています。日本で英語教育に長年関わってきた方だけに、経験に基づいた日本人の英語の欠点が書かれています。
細かい英語のニュアンスを勉強するのにおすすめ
アメリカ在住で日常会話には困らないが、細かいニュアンスの違いを学びたい人には、考えさせられ、参考になる点が多い本です。アメリカでカスタマーサービスをしている方には、この本を読んで、客への受け答えなどを学べるのではと思います。
2章のお願いするは、アメリカで客商売をしている人には参考になるところです。
”I want you ’でなく”I need you”を使う(37ページ)など参考になることが書かれていて、アメリカ人のカスタマーサービスでもこれだけ配慮して口を聞いてくれれば、と感じさせられます。
また、細かい文法事項も解説されています。例えば、”very”ばかりを使いがちな日本人の英語ですが、”bit””some’ “rather”などの細かいニュアンスを伝える表現も学習でき、辞書にはでていないような、会話表現も学べます。
和製英語や日本的な上品さを勉強できる
また、8章の和製英語などは日頃使っている日本製の英語が面白く笑ってしまうところもあり、エンターテイメントとしても読める本です。
日本的な相手に丁寧、上品、敬意を表する話し方をしたい人には、参考になる点が多く、鳥の糞などを”shit”でなく、”bird droppings”(80ページ) というなどは、かなり細かい点です。
男女差別に厳しいアメリカ、その点を踏まえた表現の紹介などもされていて、日本人英語の欠点、改善点が解説されています。
この本のもの足りない点
全体的によくできた本ですが、かなり極端な解釈も見られます。
例えば、第1章を読んでも、近況を尋ねる表現、”What are you doing?”(君はいったい何をしているのだ。12ページ)というと、尋問しているように聞こえるから、”Whatcha doing? “(最近調子どう?)と短縮形を使えばフレンドリーになるということです。
しかし、Whacha doing! と怖い顔で怒鳴られると(何やってる!)と感じますし、優しい顔で穏やかに、言うと、”What are you doing?”とフレンドリーに聞こえます。
人間のコミュニケーションでは、言葉よりも非言語コミュニケーション(表情、身振り、声のトーンなど)などが重要という説があります。
”Sorry”,”Thank you”も泣きながらいう、笑いながらいうでは、受け止め方も変わります。
この本ではこのことはあまり語られていません。文字だけでは怒っているのか、笑っているのか、わからない、そのため絵文字というものを日本人は発明し、アメリカ人も使っています。
この本は初心者でも読めますが、全ては信じないほうがいいと思います。
例えば、”I saw him on the TV.”(彼がテレビの上に立ってるのを見た。86ページ)と聞こえるから、冠詞をとり、”I saw him on TV’.(彼をテレビで見た)になる、ということですが、常識的に考えても、酔っ払ってない限りは人間がテレビの上に立つことはないので、そう解釈はされないとおもいます。
初心者は冠詞など細かい文法の間違いを気にするようになるのはよくないことです。
ネイティブが使う英語使わない英語を使った英語の勉強の仕方
一つひとつのプレーズの解釈を間に受けず、少し疑ってみて、自分で調べてみると良いのではと思います。
例えば、日本の学校英語にも出てくる”had better” (You’d better),セイン氏曰く’had bettter ‘は「〜したほうが良い」でなく、「〜しないとただではすまないぞ、〜したほうが身のためだぞ」と脅しているように聞こえる(144ページ)ということですが、本当でしょうか?
インターネット検索で”had better” の用法を検索してみると 確かに、よくないことをを避けるために、相手に提案,勧告する表現というのが、幾つかの検索結果で、怖い顔で、怒鳴られない限り、脅しとは解釈されないと思います。
ただ、強い表現は確かなので、”had best”などの表現がよいとでています。
セイン氏が間違ったことをいっているのでなく、同氏の長年の経験に基づいて、この表現はおかしいという、問題提起をしています。
ただ、解釈が極端な場合もあります。
今はインターネット検索で、かなり細かいことも自分で調べられるようになっています。
いくつかの気に入ったプレーズをインターネットで検索してみて、その用法が、どうおかしいのか、他のネイティブの意見を調べてみると良いと思います。
この本のデメリットを補う教材
欠点は、本ということもあり、文字による伝達しか学べない、非言語コミュニケーションや声のトーンなどが学べないことです。
本のほぼ全フレーズをネイティブスピーカーが録音したものも購入可能。
しかし、ダウンロードして聞いてみたら、棒読みという印象を受けました。
シャドーイングするさいは、どうすれば感じよく聞こえるか、自分で声のトーン、笑いながら言う、笑顔でいうなど、顔の表情なども練習してみると良いと思います。
今はYoutubeなどの動画を活用できる時代です。実際、気にったプレーズがあれば、Youtubeで検索して、その単語がどのように使われているか、発音はどうかを、調べることもできます。
先ほどの”You’d better” も以下のYoutube のビデオでは、笑えば、いいことあるよと、子供を励ますのに使えるかな?と感じさせます。
この本をマスターしたら次は実践英会話
この本のマスターしたら、実際にネイティブと会話することになりますが、アメリカなどの英語圏在住の方には、実践でいろいろな表現をためすチャンスですので、使ってみるとよいとおもいます。
もし、日本在住で、ネイティブと話す機会がない場合は、映画などをみて、ああこの表現知ってる、こういう使われ方している、と確認して、勉強してください。
手軽なのはオンライン英会話で効果を試す
先生と生徒という立場で、練習ですので、フレーズを使ってみると良いと思います。文字による伝達でしたら、フェースブックなどで、ネイティブの会話に入り込み、実践練習することもできます。
日本語でもそうですが、難しい敬語などは、学校で習い、大人になってからもいろいろと学びます。
効果的なコミュニケーションのやり方は、経験を積んで勉強していくものと思います。
本やビデオで学んだことを、活かすにはとにかく、ネイティブスピーカーとコミュニケーションする機会を作ること、失敗などから学ぶこと、それが、効果的なコミュニケーション能力を向上させると思います。