不定詞の種類はto+動詞の原形と原形不定詞があります。使い方や例文を中心に英文法の説明をしていきます。
不定詞とは何か
不定詞はその名の通り、『何による限定も受けない』から『不定詞』と呼ばれています。英語では『infinitives』と呼ばれていますが、これは『無限の』あるいは『非限定的な』という意味です。
『何による限定も受けない』、つまり、主語が一人称の『I』あるいは『We』であっても、二人称の『You』であっても、三人称の『He』あるいは『They』であっても変化が起きないものが不定詞なのです。
英文の原則として、1つの文に対して動詞は1つがルールですが、例えば『私は遊ぶために仕事をしている』という文のように、動詞が2つあるときに使用できます。
不定詞はTO不定詞と原形不定詞
不定詞には2つの種類があります。
1つ目はto不定詞(to+動詞の原形)、2つ目は原形不定詞です。
to不定詞の使い方
to不定詞には3つの働きがあります。
- 名詞としての働き
- 形容詞としての働き
- 副詞としての働き
ではto不定詞がそれぞれの働き方の中でどのように使われるのか、順に見ていきましょう。
1.名詞として使う場合
名詞として使う場合、to不定詞は『~することは』あるいは『~することが』と訳され、文の主語や目的語として用いられます。
ではまず、to不定詞を主語として使用する場合についてみてみましょう。to不定詞を主語として使う場合、下記のような文になります。
- 例文1:To play piano is my hobby. (ピアノを弾くことが私の趣味です。)
- 例文2:To cook is fun.(料理することは楽しいです。)
例文1では『To play piano』が文の主語になっています。また、例文2では『To cook』が文の主語になっています。
ただ、文法的には間違っていないのですが、to不定詞を主語として文頭に使用するのは少し不自然なのですね。上記和訳を見てみても、少し不自然さを感じませんか。ことわざでは、to不定詞が文頭にくることはあるのですが、特に口語ではto不定詞を文頭にもってくることは稀です。
ではどうすれば自然な文になるのか、順に見ていきましょう。
例文1については、『to play piano』=『my hobby』ですので、入れ替えて文を作ります。
入れ替えてみるとこのようになります。
例文1-1:My hobby is to play piano.(私の趣味はピアノを弾くことです。)
和訳も自然になりましたね。
例文2:To cook is fun.(料理することは楽しいです。)
については、『To cook』が文の主語になっていますが、『To cook』=『fun』とはなりません。
『fun』はあくまでも、『To cook』を修飾する形容詞です。形容詞は主語にはなれません。このような場合に主語に持ってくることができるのは、形式主語である『It』です。
Itを文頭に持ってきて文を作成するとこのようになります。
例文2-1:It is fun to cook.(料理をすることは楽しいです。)
では次に、to不定詞を目的語として使用する場合について見ていきましょう。目的語としてto不定詞を使用する場合、頻繁にセットで用いられる動詞は下記4つの動詞です。
try, decide, like, want
例文3:I want to play piano.(私はピアノを弾きたい。)
例文4:I like to cook. (私は料理することが好きだ。)
2.形容詞として使う場合
形容詞として使用する場合、to不定詞は『~するための』や『~すべき』と訳されます。
通常修飾する名詞の前に置かれる形容詞ですが、形容詞として用いられるto不定詞は修飾する名詞の後に置くのがルールです。では、to不定詞を形容詞として使用する場合の例文を見てみましょう。
例文5:I want something to eat.(私は何か食べるものが欲しい。)
例文5においては、『to eat』が『something』を修飾しています。このように形容詞として使われているto不定詞は、名詞の後に置かれます。
では、『私は何か温かい食べ物が欲しい』という文は、どのように英訳すればよいでしょうか。
『温かい』を意味する『warm』を例文5のどこかに置くことになります。通常形容詞は、修飾する名詞の前に置くものですが、今回の『something』ように『some~』で始まる名詞を修飾する場合、形容詞は『some~』の後に置きます。また、to不定詞は形容詞の後に置きます。
よって、『私は何か温かい食べ物が欲しい』という文は、下記のように英訳されます。
例文5-1:I want something warm to eat.
『some~+形容詞+to不定詞』という語順になることを覚えておきましょう。
例文6:I need someone to talk to. (私は誰か話し合える人が必要だ。)
『to talk to』が『someone』を修飾しており、ルール通り、名詞の後にこのto不定詞が置かれています。
この例文における注意点は、to不定詞に前置詞の『to』がついているということです。仮に例文6を『私は誰かと話し合う必要がある』という文に替えた場合、このような文になります。
例文6-1:I need to talk to someone.
このように、『talk to』でワンセットで『~と話す/~と話し合う』という意味になりますので、『私は誰か話し合える人が必要だ』を英文に訳す場合も、『talk to』はセットにしておく必要があります。
このように、to不定詞でも前置詞を付ける必要があるものがあるので、伝えたいことによって前置詞の要否を確認する必要があります。
3.副詞として使う場合
副詞として使用する場合、to不定詞は主に『~するために』や『~して』と訳されます。
しかしながら、上記で説明した名詞として使われる場合および形容詞として使われる場合の意味意外のものは、全て副詞として使われていると言えるため、『~するために』や『~して』以外にも意味を持ちうると考えてください。ここでは代表的な副詞的用法を3つ紹介します。
・目的を表す(『~するために』という意味)
例文7:We went shopping to buy new clothes.
(私たちは新しい服を購入するために買い物に出かけた。)
・感情の原因を表す(『~して』という意味)
例文8:I am glad to see you.
例文9:I am very happy to hear the news.
・結果を表す
例文10:It turned out to be a great experience.
(ふたを開けてみたら素晴らしい経験だった。)
原形不定詞
原形不定詞は動詞の原形のことで、to不定詞からtoを取り払ったものです。使われ方は下記3通りです。
- 助動詞の後
- 使役動詞の後
- 知覚動詞の後
では、順に見ていきましょう。
1.助動詞の後
助動詞は下記のことを言います。これらの後は動詞の原形、つまり原形不定詞を置きます。
can, could, may, might, must, shall, should, will, would
2.使役動詞の後
代表的な使役動詞は下記です。
make, have , get, let
意味は『~してもらう』や『~させる』です。それぞれ、意味やニュアンスが異なるので、順に見ていきましょう。
・make
make+目的語+原形不定詞で『〇〇に~させる』という意味を持ちます。使役動詞の中では最も強制的な意味を持っています。
例文11:She made him apologize.(彼女は彼に謝らせた。)
なお、『make』は使役動詞として後ろに原形不定詞を置くだけではなく、後ろに状態を表す語を置くことがあります。
例文12:He made me happy.(彼は私を喜ばせた。)
・have
have+目的語+原形不定詞で『〇〇に~させる』という意味を持ちます。使役動詞の『make』と同じ意味を持ちますが、ニュアンスとしては『make』より弱い感じになります。
例文11-1:She had him apologize.(彼女は彼に謝ってもらった。)
・get
こちらは原形不定詞ではなくto不定詞の形で使うのですが、使役動詞の後ろに使われる、ということでご紹介しておきます。『get+目的語+to不定詞』という形で用いられ、意味やニュアンスは『have』と同じです。
例文11-2:She got him to apologize.(彼女は彼に謝ってもらった。)
・let
let+目的語+原形不定詞で『~させてあげた』という意味を持ちます。例えば下記例文は、『謝りたいから謝らせてあげた』というニュアンスになります。
例文11-3:She let him apologize.(彼女は彼に謝らせてあげた。)
3.知覚動詞の後
知覚動詞は、目や耳など、体で感じることを表す動詞で、例えばwatchやsee、hearなどが代表的なものです。知覚動詞+目的語+原形不定詞という形をとります。
例文12:I saw him write the letter.(私は彼が手紙を書くのを見た。)
例文13:I heard him sing.(私は彼が歌うのを聞いた。)
なお、知覚動詞+目的語+動詞の進行形でも同じ意味になります。
例文12-1:I saw him wrinting the letter.
例文13-1:I heard him singing.
不定詞の否定形
もし、文の中で不定詞の部分を否定する場合、どのように文を作成すれば良いのでしょうか?
例文14:I decided to study for the exam. (私は試験のために勉強することに決めた。)
上記例文を『私は試験のために勉強しないことに決めた。』とする場合、『to study (勉強すること)』の部分を『勉強しないこと』という意味の英文に変える必要があります。このような場合は『not+to不定詞』の形をとるので、『私は試験のために勉強しないことに決めた。』は次のような文になります。
例文14-1:I decided not to study for the exam.
不定詞の構文8種類
- 疑問詞+to不定詞
- 形式主語『It』を用いる構文
- S+find it + 形容詞+to不定詞
- be動詞+to不定詞
- 主語+動詞+人+to不定詞
- too~to・・・
- ~enough to・・・
- 独立不定詞
1.疑問詞+to不定詞
この場合、to不定詞が動詞の目的語となります。疑問詞ごとの意味は下記のとおりです。
・what+to不定詞:何を~すべきか
例文15:I don’t know what to say. (私は何を言うべきか分からない。)
・when+to不定詞:いつ~すべきか
例文16:We need to decide when to start this project. (私たちはこのプロジェクトをいつ始めるか決める必要がある。)
・where+to不定詞:どこで~すべきか
例文17:We are not sure where to hold the party. (私たちはどこでパーティーを開催するべきか分からない。)
・who+to不定詞:誰に~すべきか
例文18:I don’t know who to ask. (私は誰に聞くべきかわからない。)
・how+to不定詞:どのように~するのか
例文19:I don’t know how to solve this problem. (私はこの問題をどのように解決するか知らない。)
2.形式主語『It』を用いる構文
英語では、できるだけ主語を短くシンプルにする傾向があります。そのような時に用いられるのが形式主語『It』です。『to不定詞の使い方』の『1名詞として使う場合』の例文2でも形式主語『It』が登場しました。ここでは形式主語『It』を用いた構文を順に見ていきましょう。
2-1 It+be動詞+形容詞+to不定詞
例文:To travel around the world is interesting.(世界を旅することは面白い。)
このような第二文型SVCをとっている文は、SとCを入れ替えることが可能ですが、この分の場合入れ替えると、
間違った例文:Interesting is to travel around the world.
と、このように意味をなさない文になってしまいます。そもそも形容詞は主語にはなれません。
このような時に用いるのが形式主語『It』です。『It』を用いた文に書き換えるとこのようなIt+be動詞+形容詞+to不定詞になります。
:It is interesting to travel around the world. (世界を旅することは面白い。)
2-2 It+be動詞+形容詞+for+人+to不定詞
では、例文20が『彼にとって世界を旅することは面白い』という文だった場合はどうでしょうか。『彼にとって』は『for him』です。これを例文20-2に加えるとこのようになります。
例文:It is interesting for him to travel around the world.
2-3 It is +形容詞+of+人+to不定詞
事実上の主語(to不定詞の主語)を説明する場合は2-2のように『for』を使用しますが、人の性質や性格を表す時には『of』を使い、その人がどのような人なのかを表します。
例文:He was very nice to do such a thing.
この文で『he』を修飾しているのは『very nice』ですね。これをIt is +形容詞+of+人+to不定詞の構文に当てはめて文を作成すると、下記のようになります。
例文:It was very nice of him to do such a thing.
3.S+find it + 形容詞+to不定詞
この構文にある『find it』は『~だと分かる』『~だと気づく』という意味です。例えば、『あなたはこの本を楽しめるでしょう』という文の場合、
例文:You will find the book interesting.
このように文を作ることも可能ですが、S+find it + 形容詞+to不定詞の構文を使って、
例文:You will find it interesting to read the book.
ということも可能です。
4.be動詞+to不定詞
この構文では主に予定、義務、可能、意図、運命のことを表すことができます。順に例文とともに見てみましょう。
・予定
例文:We are to hold a party next Friday. (来週の金曜日、私たちはパーティーを開く予定だ。)
・義務
例文:You are to come to the party next Friday. (あなたは来週の金曜日、パーティーに出席する必要がある。)
・可能
この意味での使用においては、否定文の受動態を使うことが多いです。
例文:The venue was not to be opened before 18:00. (会場は18時まで開かないとのことだ。)
・意図
If文で使用されます。
例文:If you are to come to the party, you must reply to the invitation by next Monday. (パーティーに出席するのであれば、来週の月曜日までに招待状の返信を出さなければならない。)
・運命
否定文で使われます。
例文:She was never to see him. (彼女は彼とは二度と会えない運命だった。)
5.主語+動詞+人+to不定詞
第五文型の目的格補語にto不定詞を用いることがあります。to不定詞を目的格補語としてとることができる動詞はbuy(買う), ask(聞く、お願いする), tell(伝える), allow(許可する), persuade(説得する), advise(忠告する), force(強制する), enable(可能にする), expect(期待する), remind(思い出させる), request(要求する), require(要求する), recommend(進める), urge(掻き立てる), warn(警告する)などです。
例文29:I expect you to study for the exam. (私はあなたが試験に向けて勉強することを期待している。)
6too~to・・・
意味は『とても~なので・・・できない』です。不定詞の意味が否定的なのが特徴です。
例文:You are too short to reach that apple on the tree. (あの木のリンゴに届くには、あなたは背が低すぎる。)
『too~to・・・』は『so~that 主語 can’t ・・・』への書き換えが可能です。例文30を書き換えると次のようになります。
例文:You are so short that you can’t reach that apple.
また、例えば上の例文30で『that apple on the tree』が『it』だった場合、『so~that 主語 can’t ・・・』文に書き換える場合にも『it』が必要です。
例文:You are too short to reach it.
例文:You are so short that you can’t reach it.
『that』以下は文が必要なので、必要に応じて目的語が必要であることに注意が必要しましょう。
7.~enough to・・・
意味は『・・・するのに十分~だ』です。『too~to・・・』が否定的だったのに対し、『~enough to・・・』では不定詞の意味が肯定的なのが特徴です。
例文31:You are rich enough to buy that car. (あなたはその車を買うのに十分なお金を持っている。)
『~enough to・・・』は『so~that 主語 can ・・・』への書き換えが可能です。例文31を書き換えると下記のようになります。
例文31-1:You are so rich that you can buy that car.
また、『~enough to・・・』は『so~as to ・・・』への書き換えも可能です。例文31を書き換えると下記のようになります。
例文31-2:You are so rich as to buy that car.
8.独立不定詞
独立不定詞とは、不定詞を含んだ熟語表現です。スムーズな文章の流れを作ることができるので、覚えておくとよいでしょう。
- to be honest:本音を言うと
- to tell the truth:実を言うと
- to be sure:たしかに
- to begin with:まず第一に
- to be frank with you:率直に言うと
- needless to say:言うまでもなく
- so to speak:言わば